object1024
object1024は、今まで何度も崩壊した高度文明期の文明を、その数復興させてきた装置、プログラムを指す。
この装置の説明をする前に必要な、人の脳に関して先に述べておこう。
人の脳は、高度文明期に入ってしばらくしてようやく解明されたものである。
ヒトの肉体を操り、情報を無尽蔵に記録し、それを解析する処理能力の高さは、長年解明されることは無かった。
しかし、西暦2160年に北米の研究機関に所属する研究者Tの発表した論文によって状況は一変する。
人の脳を一定のプログラム通りに制御する物質が開発されたのだ。
この物質が世界に与えた影響は、ここに書かなくても容易に想像できるだろうから、あえてこの報告書には記載しない。
やがて西暦2300年を超えたあたりで、この物質を半径約200kmの範囲に散布し、そこに存在する人間に一定の行動を強制する装置が開発された。
この装置には以下の条件をクリアすることで、初めて作動するとされている。
・この装置で実行するためのプログラム作成には、必ず1人のみの遺伝子データを登録されている。
・プログラムを実行する人は、登録された遺伝子データと適合率99.8%以上の遺伝子を持つ人間が実行する。
・必ず人間の文明を復興する内容をプログラムする。
この3点を満たすことで実行され、周囲の人間は記憶と脳の一部が改竄され、文明の復興に生涯を費やす生き物となる。プログラムされた水準にまで文明の回復が認められるまでは、その子孫すら復興に生涯を費やす。
object1024の実行により、今まで何度も文明の崩壊を防いできた。
記録が残っている中で、object1024が使用されたのは2399年の世界崩壊時、その次は2560年の厄災後の200年後である2760年の2回であるとされている。
現在object1024は当機関にて厳重勝つ安全に保管されている。